インターネット上の動物虐待画像等への法的対応(中編)

弁護士の青木です。

9月に入り,肌寒い日が続いていますね。

さて,愛護動物を殴っている動画を動画投稿サイトにアップロードしたケースについて,
前回の続きになります。

前編に注意して,証拠とともに通報をしたとしても警察が動かない場合は
一つは弁護士にご依頼いただき刑事告発をすることも,事件を前に進めるために考えられます。
ここで,「告訴」と「告発」について簡単にご説明しますと,
いずれも,検察官や司法警察員に対して犯罪を申告し,処罰を求める意思表示です。
そして,「告訴」は告訴権者のみが行えるものである一方(刑事訴訟法230条),
「告発」は誰でもできます。動物の場合,告訴権者になることができないので,
刑事処分を求める際には「告発」をすることになります。

法律上,「何人でも,犯罪があると思料するときは,告発をすることができる」
(刑事訴訟法239条1項)と規定されています。
弁護士を代理人とせずにご自身で告発をすることもできますが,法的に事実関係を整理し,
かつ,警察と交渉をするという,法律の専門家が関与することのメリットがあります。

もう一つは,各動画サイトの運営に,違反報告をすることも考えられます。
例えば,YouTubeの場合,Googleが運営しており,
不適切な動画については独自のガイドラインを設けています。
不適切な動画の通報がされると,運営の判断によってはアカウントが凍結される場合があります。
特に再生回数を稼いで広告収入を得る目的で動物虐待動画の投稿を行っている場合は,
アカウントが凍結されてしまうと,広告収入を得ることができず,
ひいては虐待動画を投稿し続ける意味がなくなります。

ここで注意が必要になるのは,動画やアカウントそのものが削除されてしまうと
証拠が無くなるため,刑事責任を追及することが困難になるというものです。
そのため,動物虐待画像等を発見した場合,可能であれば
画像等を保存しておくことが望ましいです。

なお,画像や書き込み,ツイート等に動物虐待を疑わせるものがあった場合,
証拠として使用するには,必ず当該画像や投稿のURLがわかる形で保存をしてください。
URLが保存されるので,当該ウェブページをPDFデータとして保存をする方法がおすすめです。
証拠の保存の仕方は,インターネット上での誹謗中傷をされた場合の保存方法等が参考になります。
これは,投稿者と動物虐待の犯人が同一がどうかが重要になる点で共通するからです。

次回は,明白な暴力行為がないが不適切な飼養方法であるケース(後編)についてご説明します。

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